前に、本に関わるお手伝いをさせてもらっていると書きました。
本関係と言ってもいろいろありますが、私は大学図書館で働いています。今日はちょっと図書館のことを書いてみます。
こちらで、修士課程の2年目に入る時、先生に大学で日本語を教えてくれと言われましたが、年齢でひっかかってしまいました。フランスで学生でありながら、"大学"で教えるのには28歳以下である必要があります。当時、先生はまさか私が28歳以上だったとは思わなかったようです。アジア人はとても若く見られますからね(笑)。
とは言っても、28歳以上でも講師として働く方法はあります。それについては後ほど機会があれば書くことにしましょう。
ひょんな訳で授業をすることはできなかったのですが、しばらくして、先生から図書館で働くようにと言われました。仕事の斡旋をしてくださるとはありがたいお話です。急の話で驚きましたが、そういうわけで図書館で働くことになりました。
図書館の仕事と一口に言っても本当にいろんな仕事があります。私は図書館は昔から良く利用していましたが、実際に図書館の実務に携わってみて図書館の仕組みが分かってなかなか面白い体験をしています。昔は図書館員というのは割と楽そうだというイメージがありましたが、実は結構大変なのです。受付にはシフト制で1日に1時間ぐらいいるだけで、後は皆職員しか入れないところで働いています。
フランスの図書館司書にいろいろな種類がありますが、どれもコンクールがあります。でも、公務員としての司書の場合はフランス国籍かEUのいずれかの国の国籍を持っていないとなれません。
Bibliothécaires (図書館司書)に Bibliothécaires adjoints spécialisés(BAS:図書館司書の一つ下の司書)。
それにConservateurs(図書館学芸員とでも言いましょうか)というものがあって、図書館で働く職員のなかでは、一番上のランクです。Conservateurの資格をとるのはとても難しいようです。ちなみに、ほとんどの欧米諸国では図書館司書になるには図書館学の修士のディプロムをもっていなくてはいけないようです。でも、同僚に聞いてみたらフランスでは図書館学以外の勉強をした人でもコンクールの為の勉強をして通れば、bibliothécairesやconservateursになれます。
今度、同僚(BAS)がConservateursになるためのコンクールを受けますが、コンクールの準備のために、週二日はConsrvateurのコンクール受験のためのセミナーに行っています。Conservateurの試験はとても難しいですが、それだけお給料もいいですし、仕事内容も責任者レベルのものです。
本の取り扱いの仕事では他に、Magasiniersと言って、本の受け取り、整理などをする人たちがたくさんいます。これも、そんなに難しくはないようですが試験があります。最近は本の数が多すぎて、図書館員だけでは手が回らないので、アルバイトで本を本棚に整理する学生が何人かいます。
図書館で働いているのは図書館司書だけではありません。
人事担当、コンピュータシステムを管理する技師、財務担当など、図書館司書ではない人もたくさん図書館内で働いています。
それに常に研修生を受け入れたりしていますから、いつもいろんな人がいます。外国からフランスの図書館システムを勉強にくる研修生もいます。
ところで、図書館司書になるのはコンクールを通らないといけませんから、普通は私のような外国人は図書館司書の仕事はしません。では、どうして私が働いているのかというと、日本語書籍の取り扱いのために、日本語を理解する人が必要だからです。
同じような理由で働いているのは、私の他に中国語担当の中国人の子、ヘブライ語担当のヘブライ語学科のフランス人がいます。ロシア語担当のロシア人もいましたが、図書館司書でロシア語のできる人が赴任してきたので、今は司書がロシア語を担当しています。
他のヨーロッパ言語はフランス人でもできますからね。図書館司書になるためのコンクールで外国語試験もありますから。でも、中国語、日本語、ロシア語などの言語はフランスではまだあまり出来る人がいません。ですから、図書館側では苦肉の策として、日本語が母国語の日本人を雇うことにしたようです。私は司書ではないので最初に電子カタログの作成の仕方、本の分類法、専用ソフトの使い方等々集中的に研修を受けました。
私は運良く働かせてもらっていますが、パリでは日本語などの言語でも図書館司書の資格を持った人でないとポストに就けないそうです。
そのせいか、とある図書館のカタログを見ると、日本語の間違えがあったり、カタログが完全ではなかったりします。明らかに日本語を解する人のやり方ではありません。
でも、最近は他の国の図書館からカタログ情報をインポートしたりすることもできますから、日本語が母国語ではなくてもカタログ作成が楽にできるようになりました。
私が図書館で働いて一番良かったのは、本の区分、カタログ分類の仕方などに慣れているおかげで、論文の参考文献がとてもよくできたということです。
でも、結構疲れる仕事です。肉体労働ではありませんが、神経を使います。間違った分類の仕方をするとコンピューターシステム上でも問題が起こるからです。
何はともあれ、私の場合は図書館で働いているおかげで得るものの方が大きいです。
ちなみに、私たちが働いている所は図書館関係者以外入って来れません。私が図書館で働いているのを知っている友達がいつも「図書館で木蓮を探したけどいなかった」と言いますが、当たり前です(笑)。
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