こちらに来て日本映画を観た時の切なさ。これは海外生活を体験してみて初めて感じることだと思います。海外で観るからこそ新鮮です。 映画の中に出てくる日本の風景、ランドセルを背負った子ども、普通の日本の食卓、商店街。日本では当たり前の風景です。私は日本映画を観るとき、映画そのものと一緒にそこに「祖国」日本を観てしまいます。
心の琴線に触れるというのはこういう時のことを言うのかな、とフランスに来て初めて日本映画を観た時に思いました。
一方、こちらにいて思うのが、自分は日本に帰国した時、適応できるのだろうかということ。海外から日本に戻ると誰でも慣れるのに苦労すると言います。逆も同じかもしれませんが、これは個人差があると思います。
日本の友達と話していると、自分の価値観が大分変わってきているのだと言うことに気づきます。フランスで生活していると、フランス人も外国人もいろんな人がいて「人と違う」のが当たり前です。自分が外国人でも受け入れてくれるのがフランスです。人は人という個人主義がしっかりしているので、慣れてくると人付き合いがしやすいです。
フランスは確かに住みやすいです。もちろん、面倒くさいこと、嫌なこともありますが、それはどこでも同じことです。でも、同時に日本に対する思いが強くなるのも事実です。
日本に里帰りして「木蓮、いいよね〜。フランスに住んでて。もう、フランスにずっと居ついちゃうんじゃないの?」と無邪気に言わたことがありましたが、内心、複雑でした。
以前、あるフランス人から「木蓮はこれからもフランスに居たいんでしょ?」と言われました。私がフランスに適応しているからという良い意味で言ったらしいのですが、妙にひっかかりました。
日本で知り合いのフランス人に会った時「フランスの国籍とっちゃえば良いのに」と軽く言われたことがあります。何でそういう話になったのかは覚えていませんが、驚きました。
フランスでは国籍は複数持てるので、二重国籍の人は珍しくありません。離婚、再婚をして三重国籍の人も知り合いにいます。でも、日本では国籍は一つしか認められていません。フランス人と結婚した日本人も大抵は日本国籍のままです。日本とフランス両方の国籍を持つことはできません。
将来、日本も二重国籍を認めるようになるでしょうか。
国籍と言う書類上の概念だけではなく、精神の上でも、私はどうしても日本人で、価値観や考え方は随分変わったかもしれませんが、これからも日本人です。 いくらフランスに適応していると言っても、木蓮はもうフランス人みたいだね、という種類のことを言われると抵抗したくなります。
でも、日本にいる知人と話す時、感覚の違いを感じるので、少し不安です。ちょっと大げさかもしれませんが、外国にいると自然と自分のアイデンティティというものを考えたりします。普段はあまりこんなことは気にしないのですが、ちょっとしたことがきっかけで、なんだかいろんなことを考えてしまいました。


























