前にこのブログでもお知らせしましたが、ついに、Institut Lumièreに吉田喜重監督がいらっしゃいました。素晴らしい夕べでした。メモしておきます。
1日目は「映画とは何か」というドキュメンタリー上映の後、監督や岡田さんのお話を聞いて、その後「鏡の女たち」の上映でした。
ドキュメンタリーでは吉田監督自ら映画について、映画の世界に入るきっかけから映画の捉え方などを語っています。見ながらメモでもとっておけば良かったのですが、そういう器用なことはしなかったので、以下は印象に残っていることです。
監督にとって、戦争はご自分にとっての大きな鍵になっているようです。語りたくもないほどおぞましい戦争のイメージが体の随までしみ込まれている。でもその残酷なものを「自分は他人である」という自己の置き方で映画を撮ることができる。「 自分は他人」という自己表現によって語るということ。
サルトルの「嘔吐」を読んだ時、自分は他人だなんていう考えはサルトルはとっくにしていることに衝撃を受けたことなど。
年代ごとの吉田映画とその傾向を見ながら、フランスと日本の映画人たちが吉田監督の作品、映画についていろいろと語っていました。
ドキュメンタリーの後で監督がお話をされていました。
ここリヨンで、最初にリュミエール兄弟がシネマトグラフを発明したということに触れて「映画が生まれたということは、映画にも死があるかもしれない。」「映画に死があるかもしれないという危機を持って映画を考えて、映画とは何かと思うことが映画を大成させる力になるのではないかと思う」現代の映画人への戒めでしょうか。
「二つだけ絶対に映画で撮れないもの、それはアウシュビツと原爆。」原爆のことを一番よく分かっているのは原爆でなくなった人たちであると。 「私は(映画の中で)原爆は見せませんが、映画をご覧になると自然にそこに原爆を見てしまう。」
監督は通訳の方が訳しやすいように区切りをつけてお話をされていましたが、原爆とアウシュビッツについて話されている時は力が入っていて、通訳があるということを忘れているように話されていました。
ちなみに映画の方は、私の個人的好みでは2日目の「秋津温泉」よりも「鏡の女たち」の方が面白いと思いました。"イメージ"を上手く使っていらっしゃると思います。緊張感のある、引き付けられる映画でした。監督の説明を聞いてから見たせいもあるのかもしれませんが、原爆への思いと監督の葛藤の跡が大変込められていると思います。ただ、少し長いと思いました。
原爆と言えば、私個人的には黒澤明監督の「八月の狂想曲」が原爆関連の映画としては、明るい空気でいて、分かりやすく、メッセージ性も高くて、原爆の残酷さも伝わてきて上手く描かれていると思います。ちなみに、リヨンで同居人Bと一緒に見た時、彼は感動した様子で「見せてくれてありがとう。すごく良かった」と言っていました。
ちなみに岡田茉莉子さんが「鏡の女たち」のシナリオを読んで素晴らしいと思った、とおしゃっていたので原作を読んでみたいと思いました。
写真撮影禁止などはないようなので、明日はぜひカメラを持参しようと思いながらInstitut Lumièreを後にしました。
ちなみにこの日、Institut Lumière のMur des Cinéastes(映画人の名前が入ったプレートが埋められた壁です)に吉田喜重監督のプレートが入れられました。吉田監督には秘密にしていたようで、監督にとってはちょっとしたプレゼントでしたね。
※ 吉田喜重の映画上映会 2日目: Kijû Yoshida à l'Institut Lumière (2)はこちら。
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Blog sur ce que je pense en France, ou bien sur le cinéma, la cuisine, les voyages, les informations de Lyon, etc. J'écris sur la vie française sans détour. Mais ce blog n'est écrit qu'en japonais. Désolé mes chers amis francophones !
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リュミエール兄弟の街から-- Du quartier des Frères Lumière --
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2 comments:
はじめまして。パリに住むYoukilaと申します。パリのポンピドーで行われた吉田喜重特集に行きました。ご本人もとてもすてきなご夫婦で、うっとりしてしまいました。「鏡の女たち」はまだ見ていないのでぜひ見てみたいと思います。フランスにいても(いると?)すばらしい日本の映画がたくさん特集されるので、うれしい限りですね。
はじめましてYoukilaさん、コメントありがとうございます^^
ああ、パリの方で行かれたんですか!パリの方はどうだったんだろうと思っていました。
>ご本人もとてもすてきなご夫婦で、うっとりしてしまいました。
そうですよね、ブログの方には書きませんでしたけど、ご夫妻が本当に素敵な方達だし、カップルとしても素敵だなと思いました。人間としてのご夫妻二人が好きになりました。
>フランスにいても(いると?)すばらしい日本の映画がたくさん特集されるので、うれしい限りですね。
そうですね。日本にいるよりも機会は多いかもしれませんね。図書館にも日本映画のDVDがたくさんありますしね。
Youkilaさんのブログの方も少しだけ見せていただきました。また遊びに行きますね。
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