フランスのリヨンの日常生活で感じた事をざっくばらんに書き留めています。フランス、リヨン情報、外国人の友達、出来事、映画、フランス家庭料理、音楽、独り言。
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Wednesday, September 10, 2008

日本語にルビを!

図書館の仕事で、

「食と文学」論 付・源氏物語・日本語教育小考‎ 田中政幸 著


という本がありました。何気なくパラパラと見てみたら面白そうな内容です。特に後半の日本語教育についての章。

目次はこんな感じです。

第一章 「食と文学」論
一 『枕草子』における「食」
二 『万葉集』における「食」 
三 人が「食」を話題にするとき
四 『源氏物語』における「食」
五 『源氏物語』の「粥」
六 『源氏物語』と『うつほ物語』における「食」――「おろし」について――
七 『大鏡』における「食」
第二章 『源氏物語』小考
一 源氏物語第一部における一手法――関係総括の「さすがなる」――
二 空蝉と藤壺宮との連関性――「さすがに」を視点として――
三 『拾遺和歌集』第一二〇七番歌について
第三章 日本語教育、その他の論考
一 人間と言語(1)
二 人間と言語(2)
三 日本語教育を基にした教養教育改革(1)
四 日本語教育を基にした教養教育改革(2)
五 ルビを付けよう(1)
六 ルビを付けよう(2)
七 あだち充『タッチ』のことばの特徴   
八  『建礼門院右京大夫集』と小督事件――「おましのきりぎりす」の解釈試案――
初出一覧
あとがき

日本語教育の章の「ルビを付けよう」からちょっと引用してみます。

中国人は漢字を使うから、アルファベットは用いず、西洋人はアルファベットを使うから、象形文字は使わない。日本人は漢字と仮名を使う。それは分かり切っている。しかしそれがわれわれにどのような影響を与えるか。日本人の失読症には、漢字が読めない、仮名が読めない、その二通りが出現する。これは西洋にはない。こうした変な状況があるから、おそらく日本人は文字を読む中枢が脳の広い範囲を占めるらしい。しかも、漢音、呉音、唐音、訓、同じ漢字を何通りにも読む。これは中国人とも異なるであろう。(p. 185)
(養老孟司『涼しい脳味噌』(1995年)からの著者の抜粋)

「言語生活」と「言語道断」、「国際」と「手際」、「敬意を表する」と「名は体を表す」、「正体」と「風体」、「頭角を現す」と「頭寒足熱」などなど、これらを、子どもや外国人の日本語学習者に、ルビなしで読ませるのは、無理な注文ではないのか。(p. 184)

これは、日本語を勉強しているフランス人が、日本語の難しい点を挙げる時によく愚痴るナンバーワンです。同じ漢字なのに何通りも読み方があるというのは日本語を勉強する過程で苦労するようです。

このブログでも、日本語を教える私の同居人と日本語 雑感で少し触れました。







フランス人の日本語学習者が前に言っていたのが「〇〇仏和辞典は例文も多いし、すごく良いんだけど、僕たち(外国人日本語学習者)にとって最悪なのはルビが振っていないことだ。」ということです。


元々日本人向けに作られている仏和辞書なので、ルビがないのは当然です。でも、日本語学習の初心者にとっては日本語はとてもやっかいなので、仏和辞典を見たくなるのも分かります。

この問題を解決するのには、早く日本語学習の初級レベルを脱して、中・上級レベルになって国語辞典や広辞苑を使うようにすることです。国語辞典は仮名順になっていて、ルビも振ってありますからね。その方が分からない単語に語句も日本語で説明してあるので、勉強にもなって一石二鳥です。

と簡単に言っても、そのレベルに達するまでがまた大変なのですけど ^-^。それは頑張ってもらうしかありません。


  • 日本語にルビを!
私自身も図書館の仕事で日本語にルビが振ってあればいいのにと思うことがあります。

フランスのオンラインカタログを作る時、日本語のオリジナル表記をするのは問題ないのですが、困るのは日本語題名、著者名などをローマ字で表記しなければいけないことです。特に人の名前などは同じ漢字でも読み方がいろいろあるので、注意が必要です。振り仮名の振ってあるものもありますが、ないものも沢山あります。読めるのが当然とでも言うかの如くです。

そういう時は日本の図書館のオンラインカタログを見て読み方を確認します。最近の本のカタログ表記は振り仮名をつけるようになっているので、日本のオンラインカタログの存在はとてもありがたいです。中国人の子で、論文の参考文献のために日本人の名前の読み方を教えて欲しいという子がいたので、図書館のオンラインカタログで確認する方法を教えたら、とても喜んでいました。


ちょっと脱線しましたが、「食と文学」論 付・源氏物語・日本語教育小考の著者は、日本語にルビを付けることを提案しています。


「古い戦前」においては、漢字仮名交じり文の漢字にルビが付けられていた。ルビ付き文章の力を認識できなかった少数の人々が、昭和二一(1946)年に、漢字制限(「当用漢字表」)・仮名遣い変更・原則ルビ無しを実施してしまった。その結果、「わかりにくい部分や、固有名詞が非常に多く、発音しにくい名前が出ていても振り仮名さえついていない」教科書や、新聞・雑誌・文庫本などを読まされる若年層は、活字離れをしていく。」(p. 193)

同感です。

6 comments:

Anonymous said...

日本語って難しいですね~^^
相方にはいつも誤解されてばかりで・・・
口数すくなくなっちゃいますよ^^;

応援ぽちり♪

木蓮さんいつもブログにご訪問ありがとうございます^^

瑞穂 said...

◆こんばんは、カフェオレさん!
人の名前とかは結構読み方が微妙なこともあるので、新聞でもルビをつけてほしいなと思うことがあります^-^。

こちらこそいつもありがとうございます、カフェオレさん♪

Anonymous said...

昔、やっぱりフランス人の日本語学習者のために、何かで調べて、「ルビを振ってくれるサイト」というのがあったので、教えてあげたのを覚えています。
もうリンクをなくしてしまったんですが。
(すみません…)
漢字の読みは、本当に困難ですよね。
日本人もよく間違えますし。
夫もよく文句を言います(そういうレベルじゃないんですが…)
なので、日本語は、フランス語みたいに人称による動詞変化や、男性女性名詞がないからね、と反論しています。

ちなみに、この本、枕草子とか源氏物語の時代に食べていたものが書いてあるんでしょうか?これ、気になります。

素キッシュの材料は(いつまでも、引きずってすみません…)クリーム(またはフロマージュブラン)、グリュエールチーズ、塩、こしょう、卵です。だから、茶碗蒸しみたいになるわけです。

瑞穂 said...

◆サラさん、こんばんは!
この本では枕草子とかの時代に食べていたものが書いていた訳ではなくて、食と文学の関係です。「食から見える身分意識」、「源氏物語は食欲不振の文学でよいか」などのキーワードがありますよ。

日本語のルビですけど、そう言えばワードでもルビを振ってくれる機能があったと思います。ただ、バージョンによってないものもあるので、お使いのバージョンで要確認ですが、ルビを振ってくれると便利ですよね。

素キッシュが茶碗蒸しみたいというのもなんだか微笑ましい表現ですよね。たぶん、自分でつくることはないと思いますが、フランス人ならそういうのもつくるだろうなと想像はできます^-^。

Anonymous said...

外国人向け日本語ルビ振りサイトYOMOYOMOというのがあります。

YOMOYOYO

任意の日本語WebサイトのURLを入力すると、ルビが振れる、テキスト音声合成で読み上げられる、辞書が引けるという超優れものです。

よろしかったら、使ってみて下さい。

瑞穂 said...

◆サイトのご紹介ありがとうございます。

試しに使ってみたのですが、上手くできませんでした。私がmacを使っているせいかと思ったのですが、windows上でも出来ないと言われました。一時的なものかもしれませんね。

ただ、私がルビ振りサイトを必要としている訳ではありません。誤解を与えていたら申し訳ありませんでした。

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